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2014/02/20
くぼ ジャパンPress~関西から日本へ~【メルマガ171号】
労災を受給中の社員の解雇は無理?
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くぼ ジャパンPress ~ 関西から日本へ ~
Vol.171 平成26年 2月20日
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└■ 労災を受給中の社員の解雇は無理?
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労働基準法では、労働者が業務上の傷病により休業している期間とその後の
30日間は、原則として解雇が制限されています。しかし、休業が長期に渡り、い
つまでたっても復職できないし、解雇もできないというケースもあります。そこ
で労働基準法では、この解雇制限期間について、療養開始後3年を経過しても労
働者の負傷または疾病が治らない場合においては、使用者は、平均賃金の1200日
分の打切補償を行った場合は解雇することができると定めています。この打切補
償をおこなえば、解雇制限期間中でも解雇することができるというわけです。
これまでは、労災給付は使用者の労働者に対する補償を代行するものという趣
旨から、打切補償について、使用者から直接補償を受けている労働者と使用者か
ら直接補償を受けておらず、労災給付から補償を受けている労働者も同じ扱いで
よいという考え方でした。ところが、平成24年にでた地裁判決、平成25年にでた
高裁判決により、この考え方は否定されています。判決では、労災給付を受けて
3年以上休職していた労働者に対して打切補償を支払っておこなった解雇が無効
とされました。打切補償は補償の長期化による使用者の負担を軽減する趣旨であ
り、労災給付を受けている場合の補償は労災保険で行われているため、使用者の
負担を軽減する必要がないという理由からです。この判決は今後の業務上の傷病
による長期休業者の取り扱いに大きく影響を与えるでしょう。
また業務上の傷病中の休業中でも解雇できる場合があります。休業開始3年経過
日に労災保険の傷病補償年金を受けている労働者は、打切補償を支払ったとみな
され解雇制限が解除されます。しかし傷病補償年金は重篤な状態でないと支給さ
れませんので、該当するケースは限られているでしょう。