メールマガジン
2020/10/01
くぼ ジャパンPress~関西から日本へ~【メルマガ443号】
テーマ:『新型コロナウイルス感染症の影響による役員給与の改定』
このメールは、税理士法人KJグループの顧問先様と、セミナーにご参加頂いた方、
今までに名刺交換をさせて頂いた方にお送りしております。「関西から日本を元気にしよう!!」をモットーに日夜奮闘している会計事務所が送るメールマガジン。新鮮な情報を配信中です!
- 目次 (令和2年9月30日発行)
『新型コロナウイルス感染症の影響による役員給与の改定』
『新型コロナウイルス感染症の影響による役員給与の改定』
(1) 同一事業年度において役員給与を 2 度減額する場合
新型コロナウイルス感染症の影響による倒産も増加しており、感染拡大防止のため
の再度の休業要請や外出自粛による影響など、更なる業績悪化が懸念される事業者
もいらっしゃることでしょう。経営改善策の一環として業績悪化改定事由による役
員給与の減額改定を行った後で、再度の役員給与の減額改定が必要になることもあ
るかもしれません。法人税法上、同一事業年度において業績悪化改定事由による改
定が認められるのは 1 度のみとは決まっていませんので、更なる業績悪化による2
度目の減額についても業績悪化改定事由によるものと認められると思われます。
なお、法人の一時的な資金繰りの都合や単に業績目標値に達しなかったことなどは
業績悪化に含まれないとされていますので、いずれの減額においても財政状態や今
後の業績見込み等を総合的に判断して、業績悪化改定事由によるものかどうかを確
認する必要があります。
(2) 同一事業年度において役員給与を減額後に増額する場合
第 2 波、第 3 波も懸念される昨今の状況では事業者の売上水準が元に戻るのも時
間を要することと思いますが、業績悪化改定事由による役員給与の減額を行ったあ
とに業績回復の兆しが見られたため、減額した役員給与を同一事業年度中に増額(
元に戻す等)することもあると思われます。
業績悪化改定事由による改定は、あくまでも「その法人の経営状況が著しく悪化し
たことその他これに類する理由によりされた定期給与の額の減額」とされています。
その減額改定が業績悪化改定事由によるものであり、業績が回復したからという理
由で給与を元に戻した場合などの増額改定であったとしても、原則として【1】期
首から 3 ヶ月以内の改定、又は【2】臨時改定事由による改定のいずれかに該当する
ものでなければ定期同額給与に該当しないことになります。
新型コロナウイルス感染症の影響で業績悪化改定事由により役員給与を減額し、業
績が回復したため同一事業年度中に役員給与を増額するケースでは、その増額改定
が期首から 3 ヶ月以内の改定に該当しない場合には、次に臨時改定事由による改
定に該当するかどうかの確認をすることになります。業績悪化改定事由のように国
税庁からその取扱いについて明確に示されているものはありませんが、臨時改定事
由による改定は、「その事業年度においてその法人の役員の職制上の地位の変更、
その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情により
されたこれらの役員に係る定期給与の額の改定」とされていますので、単に業績回
復を理由とする増額改定は臨時改定事由による改定には該当しないと思われます。
例えば次のような理由による増額改定は臨時改定事由に該当することも考えられま
すが、その法人の状況に応じて改定の理由を確認する必要があるでしょう。
◆ 新型コロナウイルス感染症の影響により経営改善策の一環として役員体制を見
直したため職制上の地位を変更した場合
◆ 業績回復に伴い職務内容に重大な変更がある場合 など